鼻炎、副鼻腔炎(ちくのう症)専門サイト

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カビが引き起こす副鼻腔炎

副鼻腔に“カビ”がついて副鼻腔炎を起こすことがあります。副鼻腔真菌症真菌性副鼻腔炎と呼ばれます。
この病気は、症状によって4つの型に分類され、それぞれ症状や治療が異なってきます。
4つの型とは急性浸潤型、慢性浸潤型、慢性非浸潤型(寄生型)、真菌に対するアレルギー型です。
最も多いのが慢性非浸潤型(寄生型)で、これはしっかり治療をすれば治療効果が期待できます。一方、浸潤型は急速に病気が進行し、また薬だけでなく大きな手術が必要になることも多く注意が必要です。


原因)

原因となるカビ、真菌は、アスペルギルスという種類が最も多く、その他、ムコールやカンジダなどがあります。
抗生剤の乱用や、ステロイド、免疫抑制剤を使用しすぎが誘因になり、また基礎疾患として糖尿病や血液透析中であることなどが誘因あるは重症化の原因となることもあります。


症状) ●慢性非浸潤型(寄生型):

もっとも多いのがこの型です。片側の副鼻腔、特に上顎洞に発生することが多く真菌塊を形成します。膿性鼻漏や後鼻漏、頬部痛など一般的な副鼻腔炎に似た症状が出ますが、 無症状の場合も多く、偶然画像検査などで発見されることも多くあります。

●急性浸潤型:

高度の頭痛や視力障害、物が二重に見える、顔面や頬部の痛みなどの症状が急速に出現します。真菌が血管を介して、副鼻腔から眼や頭の中など周囲組織に急速に浸潤するため、非常に重篤な症状を引き起こします。

●慢性浸潤型:

副鼻腔の粘膜に浸潤しますが、周囲組織への浸潤はゆっくりと進んでいきます。

●カビ(真菌)に対するアレルギー(アレルギー性真菌性副鼻腔炎):

真菌の存在とそれに対するアレルギー反応によって生じるもので、10~30歳代の若年者に好発し、片側に発生することが多いと言われています。 副鼻腔にニカワ状と呼ばれる非常に粘調な鼻水、多発する鼻ポリープを認めます。後述する好酸球性副鼻腔炎に似た病態を示し、先の3つとは病態が異なります。(好酸球性副鼻腔炎の項で説明いたします)

診断) 画像診断:

CTでは石灰化や濃淡のある像が見られ、またMRIで真菌に特徴的な画像所見(T2強調画像で無信号)が認められます。浸潤型では周囲組織への浸潤を認めますし、慢性非浸潤型では副鼻腔の骨の肥厚した像が見られます。

血液検査:

血液検査でβ-D-グルカンという物質の測定、およびアスペルギルス、カンジダ、ムコールなど原因真菌の抗体価を測定します。また手術で取り除いた組織検査で真菌の存在を確認することで確定診断が得られます。


治療)

抗生剤はもちろん無効で、原因の真菌によって抗真菌剤の種類も変えて投与することがありますが。それも限界があります。
最も頻度の多い慢性非浸潤型では、内視鏡的に副鼻腔を開大し、真菌塊の除去および洗浄によって良好な予後が期待できます。
浸潤型では、病巣を含めた拡大切除が必要で、手術による徹底的な除去と、抗真菌剤の全身投与が必要となりますが、不幸な転帰をたどることも少なくありません。


注意していただきたいこと)

副鼻腔真菌症は4つの型によって症状の出方が異なります。
急性浸潤型では、急性副鼻腔炎のような症状や視力障害、頭痛といった高度な症状が出ますので、早急な治療が必要です。
特に糖尿病や血液透析をされている方、ずっとステロイドなどを内服している方で、前述した症状が出た場合は注意を要します。
片方だけ副鼻腔炎の症状がある方も、これら真菌性副鼻腔炎や歯性上顎洞炎、腫瘍の鑑別のため、漫然と治療を行わず、画像診断をうけてください。