鼻炎、副鼻腔炎(ちくのう症)専門サイト

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乳幼児の鼻つまり ~鼻が詰まって苦しそう・・・その対応は?~

赤ちゃんや乳幼児が、鼻がつまるために、“鼻がふがふがしている”“寝るときや苦しそう”“ミルクを飲むときにしんどそう“と訴えて 病院に来られることがあります。また赤ちゃんの時期を過ぎて幼少期になっても、鼻水が出てないのにいつも鼻をすすっている、 という訴えで来院されるお子さんも時々見かけます。
実際、鼻が詰まると、
・ミルクがうまく飲めなくなる、
・眠りが浅くなる、
・呼吸が苦しくなる
・鼻に感染を起こしやすくなる

などの弊害が出てきます。
赤ちゃんは主に鼻で呼吸を行なっており、口での呼吸は上手に出来ません。
口呼吸ができるようになるのは離乳食が始まる1歳以降といわれており、幼児期になると可能になります。
口呼吸できないのは問題ではありません。むしろ本来呼吸は鼻から行うのが自然な姿です。
口呼吸の弊害は色々言われており、
・鼻のフィルターの役割がなくなるので風邪をひきやすくなる
・鼻に空気が通らなくなるので鼻炎、副鼻腔炎がさらに悪化する
・歯並びが悪くなる
・虫歯が増える
・睡眠時無呼吸を引き起こす
・アトピー性皮膚炎などのリスクになる

などの諸説もあるぐらいです。

鼻つまりの原因

まずは原因が何であるか確認することが重要であることは言うまでもありません。

① ウイルスや細菌の感染

原因としてまず挙げられるのは、ウイルスの感染です。感染によって鼻水が増え、鼻の粘膜が腫れるため鼻つまりを起こします。 ご家族や兄弟がかぜを引いているとリスクとなります。
代表的なのはRSウイルスや百日咳などの感染で、重症化することもあるため注意が必要となります。


② 母乳やミルクの逆流

感染とは別の要因として母乳やミルクの逆流で鼻つまりを起こします。
特に首がすわる3か月までは吐きやすいのでミルクの嘔吐があるかどうか確認します。
そして以下のようなことに気をつけます。
・母乳をあげるときの体位に気を付けること(例えば左側を下にした体位の方が吐きにくい)
・いわゆる“ゲップ“を上手に出させてあげる(ミルクを飲みながら空気も一緒に飲みこむので吐き易い)


③血管運動性鼻炎、寒冷性鼻炎、乾燥性鼻炎

それ以外には、赤ちゃんの鼻腔は狭いうえに、温度差や乾燥、化学物質など外からの刺激で、鼻の粘膜腫脹するため容易に鼻つまりを起こします。

④先天性鼻閉

先天性とはつまり、先天性の奇形で、後鼻孔閉鎖や狭窄、腫瘍などを除外する必要があります。

⑤ アデノイドの肥大

とくに3歳から6歳ぐらいまでアデノイドという鼻の奥の扁桃組織が大きくなる時期に鼻つまりの原因となることがあります。

お母さんの胎盤から入った抗体がまだ残っているので、6か月未満の赤ちゃんは免疫機能が比較的保たれています。 新生児や6か月未満の赤ちゃんに意外に多いのが感染症よりもむしろ③のような鼻炎です。
この場合、特効薬がなかなかありません。以下を参考にしてください。

【ご家庭でまずやってみること】

① 鼻の頭を蒸しタオルで暖める

鼻の粘膜は外の空気が冷たいに触れると腫脹します。逆に温めると鼻の通りがよくなります。
暖かいタオルなどで鼻の頭を温めてあげてください


②お風呂に入れて体を温める。

寝る前や哺乳前に入浴して体を温めてあげること、鼻粘膜の腫脹が軽減します。



③部屋の加温、加湿を行う。

部屋をエアコンなどで温めるとともに、乾燥しすぎないように加湿器などで加湿を行ってください。




④鼻水を吸引する

1日2~4回、市販の鼻水を吸い取る器具を使用して、仰向けに寝た姿勢で、口で片方ずつ吸ってください。両方の鼻つまりが強い状態で強く吸い過ぎると、耳に陰圧がかかり中耳炎を引き起こす可能性もありますし、鼻血がでることがありますので、優しく吸ってください。 鼻呼吸が出来ないと眠りも浅くなるし、哺乳も上手くできません。授乳の前、寝る前に行うと効果的です。

治療法
~それでも、なかなか鼻つまりが改善しないなら?~

ご家庭で前述したことを行ってみても改善がない場合

●耳鼻科にて鼻の吸引処置








●飲み薬

症状が強く、睡眠をとれない場合、哺乳が出来ていない状態、呼吸が苦しそうな状態があれば投薬を検討します。赤ちゃんはまだまだ余力がありませんから、単なるウイルス性の風邪でも時には入院が必要になることもあります。鼻水が原因で鼻閉を起こしている場合は、鼻水を柔らかくして出しやすくする薬(去痰剤 ムコダインなど)、場合によっては鼻水を止める薬(抗ヒスタミン剤など)を使用して、鼻水を止めます。

*抗ヒスタミン剤の使用についての注意

抗ヒスタミン剤を感冒の際に使用することには賛否があります。 以前からある鎮静性の第一世代(ポララミン、ぺリアクチンなど)と非鎮静性の第二世代(ザイザル、クラリチンなど)がありますが、第一世代抗ヒスタミン剤は、副作用として強烈な眠気、抗コリン作用による喘息の誘発、乳幼児の無呼吸や熱性痙攣の誘発などが言われています。乳幼児に対する第一世代抗ヒスタミン剤の投与は慎重にならざるを得ません。当院では乳幼児に抗ヒスタミン剤を使用する場合は、第二世代を優先して使用します。 生後6ヶ月未満はいずれの抗ヒスタミン剤も使用は控えたほうがいいです。

●薬剤の点鼻

鼻の粘膜が腫れて鼻つまりを起こしている場合、鼻の粘膜を収縮させる点鼻薬を使用します。幼小児には2~3倍に薄めたものを処方します。 この薬は血管を収縮させる成分が含まれるため、動悸などの副作用がでる可能性があります。ですので、0歳の乳児には使用は積極的には処方していません。

●漢方薬

赤ちゃんの鼻閉はあまり特効薬ない中、麻黄湯という漢方薬の効果が報告されています。ご家庭で行えることを行っても改善がない場合に処方を検討します。 顆粒を親御さんの指につけてしゃぶらせます。赤ちゃんなら大体1gを一日2~4回に分けて与えます。 副作用の報告は少ないですが、この薬にはエフェドリンという成分が含まれており、動悸や興奮作用がありますので、乳幼児に使用する場合には副作用のチェックが必要であり、安易な投薬は控えるべきとの意見もあります。