小学校に入るとその割合は著明に減少し、その割合は20%以下になり、中学校になると膿性鼻漏があっても中耳炎に至ることは極めてまれです。
以上から、膿性鼻漏(黄緑色の鼻水)のある0~6歳の小児を見たときに、中耳炎の有無のチェックをした方がよいということになります。
(当院の中耳炎専門サイトもご参照くださいhttp://chujien.com/4.html)
急性中耳炎の原因菌は、小児、成人ともに、肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラクセーラ・カタラーリスという菌が主な原因です。実は急性鼻炎・急性副鼻腔炎の原因菌で多いのも全く同じ菌です。
通常、中耳腔は無菌であり、また鼓膜穿孔などがなければ耳の外から感染することはありません。
中耳と鼻と耳管という管でつながっており、鼻炎・副鼻腔炎が起こり、炎症が中耳に波及するため急性中耳炎を引き起こします。
乳幼児の耳管は、大人と比べて、短く、太く、また鼻の位置と中耳の位置がほぼ水平に近いため、炎症が波及しやすいことが中耳炎になりやすい原因の一つです。
さらに「鼻すすり」の癖がつくと、中耳に陰圧がかかり、耳管狭窄の状態が続くため、滲出性中耳炎が起こしやすくなります。
膿性の鼻水が続いているお子さんや中耳炎をくり返しているお子さんは、鼻の治療をしっかり行う必要があります。
一方、鼻水が続くと、眼脂、いわゆる“めやに”の症状を訴えます。
涙が出ると鼻水が増えることは、ご経験があるかと思います。これは涙腺という目の外側にある分泌腺から涙が分泌されて、それが鼻涙管を通じて鼻に流れ込むために起こります。
眼脂“めやに”は鼻炎、副鼻腔炎が最初に起こり鼻涙管という管を介して、鼻から逆行性に感染するために起こり、細菌性結膜炎となります。
細菌性結膜炎は0~9歳、特に3歳以下に多くみられます。
細菌性結膜炎の原因となる菌で多いのは、インフルエンザ菌、ブドウ球菌、肺炎球菌、モラクセーラ・カタラーリスという菌です。
ブドウ球菌は目を汚い手でこすったりすることが原因と推測されますが、それ以外の菌に関しては、実は副鼻腔炎や中耳炎の起炎菌と同じです。つまり副鼻腔炎などの上気道感染が大きくかかわっています。
眼脂(めやに)があるときは目薬などの治療だけでなく、鼻の治療をしっかり行う必要があることをご理解ください。