鼻炎、副鼻腔炎(ちくのう症)専門サイト

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子供の鼻副鼻腔炎の特徴

【子供の副鼻腔CT像】上顎洞や篩骨洞が大人に比べて小さい

【大人の副鼻腔CT像】

副鼻腔は生まれたときには、まだ大人のように存在しません。骨の発育とともに徐々に空洞が形成され大きくなっていきます。思春期ごろには大人とほぼ同じ形になります。 (副鼻腔とは?の項を参照ください)
つまり、乳児、赤ちゃんには副鼻腔炎というのは原則ありません。
(上顎洞の空間が形成されるまでは、その部位には骨髄が存在し、そこが炎症を起こす新生児上顎骨骨髄炎という病気があります。 現在は医療が発達し、ほとんど見ることがありません。)
幼少児は、副鼻腔はまだ大人に比べると小さいですが、副鼻腔と鼻腔とは大人よりも広くつながっています。
広くつながっているということは、炎症も波及しやすいため、乳幼児は急性副鼻腔炎になりやすいこと、そして鼻水が多いことが特徴の一つです。
軽いものならそれほど長引くこともなく治ってしまいますが、中には鼻水がずっとつづいて治らないケースもあります。

原因)

鼻炎が長引く原因として以下のような原因が挙げられます。
①扁桃やアデノイドの肥大によって、鼻水がブロックされ鼻腔に留まってしまう。
②免疫が未発達のため、風邪を引きやすい
③ 乳幼児は抗生剤の耐性菌が出やすく、その耐性菌が常在化してしまう
④鼻を上手にかむことができない
⑤ ダニやハウスダストに対するアレルギーがある
⑥自律神経が過敏で温度の変化や化学物質などで容易に鼻水を誘発する

① 扁桃やアデノイドの肥大

アデノイドとは鼻の奥にあるリンパ組織で咽頭扁桃とも呼ばれます。アデノイドや扁桃は、3歳から6歳ぐらいで大きくなります。アデノイドが大きくなると、鼻の奥がブロックされて、鼻腔に鼻水が慢性的にたまりやすくなります。 さらに細菌が増殖してアデノイドに感染して炎症がおこり腫れるため鼻つまりが増強するだけでなく、長引く鼻炎、副鼻腔炎の原因となります。 またいびきや無呼吸の原因にもなります。 成長とともに扁桃やアデノイドは委縮していき、鼻腔も広くなっていきます。副鼻腔炎が治りやすくなってきます。

② 免疫が未発達

生後6か月まではお母さんの胎盤から母体由来の抗体があるため、免疫機能は比較的保たれており、大きな風邪も引きにくい時期です。 しかしそれ以降になると抗体が消失し、だんだん風邪を引きやすくなってきます。風邪を引くたびに免疫がついていくので小学校に入る頃になると免疫機能も 大人と同じくらいになりますが、それまでは感染しやすいため副鼻腔炎の難治化の原因となります。

③ 抗生物質が効かない耐性菌の問題

生後6か月~2歳までは、特に頻回風邪を引くこと、抗生剤も多く飲む機会があること、そして抗生剤が効きにくい菌が多く検出されやすいこと、 が挙げられます。それらの耐性菌が鼻腔に常在してしまうと副鼻腔炎が難治化する原因となります。

④ 鼻を上手にかむことができない

説明するまでもなく乳幼児は鼻を上手くかむことができません。早くても4歳をこえてこないと自分で鼻をかむことは難しいと思います。 鼻水が鼻腔に留まりやすく副鼻腔炎が難治となる原因の一つです。

⑤ アレルギー体質

2歳ごろからハウスダストやダニなどのアレルギーが増え始めます。近年は食生活の改善や衛生環境の改善により、 一般的な細菌感染による副鼻腔炎は減少傾向である一方、食生活や衛生環境により逆にアレルギーが増加しており、 アレルギー性鼻炎も低年齢化が進んでいます。(一般的にスギなどのアレルギーは小学生ぐらいから増え始めますが、こちらも低年齢化が進んでいると言われています。)
アレルギーによって粘膜の腫れが生じて副鼻腔の換気が悪くなること、鼻水が慢性的に鼻腔に留まり感染すると鼻炎が悪化しやすいことが挙げられます。
実は以前に比べて単純な細菌性の副鼻腔炎は少なくなっています。
衛生状態や食生活の改善、治療の進歩などの医療環境の改善などにより、近年は昔のような細菌による副鼻腔炎も減少してきており、 また症状も軽症になってきていると言われています。
副鼻腔炎の罹患率は特に中、高校生以上の人では減少傾向がみられますが、実は小学生ではここ30年、減少は見られません。
要因としてアレルギー性鼻炎の罹患率が上昇しており、アレルギーの関与する副鼻腔炎が増えているためだと考えられています。

症状)

鼻水が多く、鼻づまりを来たし、口呼吸になり、いびきが目立つことがあります。
また鼻水が鼻の奥からのどに流れ落ちるため(後鼻漏)痰が混じった咳がでます。
また鼻が詰まってボーとするので、注意が散漫になりがちです。

治療)

乳幼児期は頻繁に鼻水を繰り返すことが多いですが、多少の鼻水であればしばらく経過観察でも可能なことも多いです。
特に水様性の鼻水であれば、少なくとも抗生剤は必要なく、症状緩和のための薬が中心です。消炎酵素剤、粘液溶解剤をはじめ、 アレルギーの合併があれば抗アレルギー剤の内服を行います。
細菌感染が疑われる場合は抗生物質を内服していただくことがありますし、長期間続く場合は、大人の慢性副鼻腔炎の治療と同様、 マクロライドという抗生剤を内服していただくことがあります。
(苦いお薬なので、しばしばお子さんが内服することが困難な場合もあります)
小児の場合は手術を行うことはあまりありません。
骨の発育がまだまだ未発達であるため、手術を検討するなら、中学生以降のある程度骨や副鼻腔が発達してからの方がよいと思われます。

注意していただきたいこと)

小児は、鼻や副鼻腔が未発達であり、またアデノイドやアレルギー体質など成長とともに変化していきます。年令によって起こる病気の特徴をふまえ、 どの程度まで治療するか判断します。
副鼻腔炎の本格的な慢性化は小学生高学年以降です。6才頃までは副鼻腔の入り口は広いため、鼻炎が改善すれば副鼻腔炎も改善します。 発達して副鼻腔の入り口が狭くなる小学生になると、副鼻腔だけに炎症が残る慢性化が始まります。
しかし以下のような症状があれば、副鼻腔炎が難治あるいは長引いている可能性がありますので、定期的な経過観察を勧めています。
➀アレルギー性鼻炎を合併している
 ⇒アレルギーによって鼻が常につまっているだけでなく副鼻腔炎が難治になります。
②中耳炎を頻繁に起こし、なかなか治らないことがある(反復性中耳炎)
 ⇒鼻副鼻腔炎から、耳管経由で中耳炎を起こすので鼻副鼻腔炎のコントロールが必要です。
③頭痛・頭重感 
④鼻が詰まってボーっとしていることが多く、落ち着きがない、集中力がない
⑤いびきや睡眠時の無呼吸がある。
 ⇒これらは子供のQOLを著しく低下させます。
⑥痰の絡んだ咳が頻繁に出る。
 ⇒鼻副鼻腔炎によって鼻が後ろに流れ、朝起きたときや寝るときに咳が出て、気管支炎、喉頭炎を引き起こします。