鼻炎、副鼻腔炎(ちくのう症)専門サイト

今泉耳鼻咽喉科クリニックの開院時間

大阪府門真市末広町7-5 樋口ビル2F TEL:06(6909)3387

古川橋駅徒歩1分 守口市大日より自転車10分徒歩20分 寝屋川からは電車10分以内

喘息の合併と副鼻腔炎 ~好酸球性副鼻腔炎、アスピリン喘息のお話~

鼻・副鼻腔の病気と気管支・肺の病気が合併することがあります。
喘息の症状は、喘鳴、咳、息切れなどですが、その原因は、リンパ球という血液の細胞の中の一種である好酸球という細胞が関与しています。
好酸球による炎症によって、気管の壁が厚くなり、粘膜が腫れる、気管が収縮して狭くなる、などの症状がおこりますが、 気道が過敏に反応してしまい好酸球が炎症を起こすことが原因です。
慢性副鼻腔炎に喘息を合併する割合は、10~15%とも言われています。
中でも成人で発症する気管支喘息やアスピリン喘息は副鼻腔炎が高率に合併します
喘息に合併する副鼻腔炎についてのお話をしてみたいと思います。

☆好酸球性副鼻腔炎:

好酸球性副鼻腔炎は近年、難治性の副鼻腔炎として注目されています。
好酸球という細胞が引き起こし、普通の副鼻腔炎よりもなおりにくく、かつ再発しやすい副鼻腔炎です。
この病気の特徴としては、
・鼻ポリープが鼻の上の方(中鼻道から篩骨洞にかけて)に多発する
・鼻ポリープには好酸球という細胞が多く含まれている。
・副鼻腔内に黄色での粘性の強い“にかわ状”の鼻水がたまる
・気管支喘息、アスピリン喘息を合併することが多い
・嗅覚障害を来たしやすい
・マクロライド系抗生物質が効かない
・ステロイドがよく効くが、やめると再発しやすい
・治療に抵抗性をしめし手術しても再発しやすい
・成人で発症し、両側性の場合が多い

などの特徴があります。

治療)

●薬物治療

症状が軽い場合は鼻ポリープがそれほど大きくない時には、薬による治療を行います。

➀ステロイドホルモン剤:

初期の治療や症状が悪化したときに内服薬の治療として、副腎皮質ステロイドホルモン剤を内服します。
非常に良く効きますが、再発しやすく、また短期の内服では効果が乏しいため、2週間程度の内服が必要とすることが多いです。 長期使用する場合には副作用に注意が必要で、体重増加や血圧の上昇、血糖値の上昇、感染症に注意が必要です

ステロイドの点鼻薬:

症状が安定している時には、ステロイド薬の点鼻薬を併用します。内服のステロイドは効果が最もありますが、ずっと飲み続けることは副作用などの問題もあります。 点鼻薬は内服に比べると効果は劣りますが副作用が軽度であることから積極的に使用します。

抗ロイコトリエン剤

抗アレルギー作用をもつ抗ロイコトリエン剤を使用します。症状が安定しているときでも維持のために飲み続けていただきます。 この薬で鼻ポリープの好酸球の割合が減り、鼻ポリープが縮小します。一般的にアレルギー性鼻炎においても特に鼻閉の鼻症状の改善に効果があります。

④その他の薬について:

一般的にアレルギー性鼻炎によく使われる抗ヒスタミン剤は、好酸球性副鼻腔炎には効果がありません。またTh2サイトカイン阻害薬は理論上、 好酸球副鼻腔炎に効果があると考えられていますが、実際には明らかな効果は報告されておらず、現状では補助的に用いるのみです。

●手術療法

鼻閉症状がつよいときや鼻ポリープが大きなときは手術を検討します。ただし、手術を行っただけではほとんどの症例で再発します。 ポリープの減量や副鼻腔と鼻との通りをよくしたうえで、抗ロイコトリエン剤を内服し、ステロイド点鼻薬が鼻の奥に到達しやすくすくするものです。 手術のみでは根治は難しいと考えてください。

注意していただきたいこと)

喘息の合併

喘息やまだ発症していない喘息の初期症状が見られることがあります。鼻症状だけでなく、咳、喘鳴(ゼイゼイ)、呼吸困難がある場合は喘息の初期症状のこともあり、 鼻だけではなく気管支の病変にも注意が必要です。


好酸球性中耳炎の合併

気管支喘息や好酸球性副鼻腔炎に罹患すると、遅れて耳にも中耳炎の症状が出てくることがあります。
ニカワ状の耳漏、中耳の粘膜が腫れ好酸球が浸潤し、治療に抵抗を示します。
時には感音難聴という神経の難聴を来たし後遺症が残ることもありますので、内服などで経過観察する際も耳の状態のチェックが必須です。


☆アスピリン喘息に伴う副鼻腔炎

アスピリン喘息は解熱鎮痛薬(NSAID)により喘息発作が誘発される病気です。
好酸球性副鼻腔炎と似た病状で、慢性副鼻腔炎、特に鼻ポリープを高率に合併します。鎮痛剤に過敏であることが違いです。
診断は何よりも過去に解熱鎮痛剤の内服により喘息発作が誘発されたかどうかを確認することが必要です。


特徴

喘息発作、解熱鎮痛剤に過敏、鼻茸を3主徴とする。
・アレルギー性疾患の家族歴や既往歴はなく血液のアレルギー検査でも陰性
・30~50才に発症することが多い。
・季節に関係なく発症する。
・ステロイドが効くが症状が強いため薬を止めることが困難となり依存性になりやすい。
・鎮痛剤の使用は困難だが、チアラミド(ソランタール)アセトアミノフェン(カロナール)など一部の解熱鎮痛剤は使用できることもある。
などが挙げられます。