鼻炎、副鼻腔炎(ちくのう症)専門サイト

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急性副鼻腔炎とは?

急性副鼻腔炎は、主に細菌、ウイルスなどの感染で起こるものが大部分を占めます。
副鼻腔という空間にウイルスや細菌など感染や炎症がおこり、粘膜が炎症を起こして、鼻と副鼻腔をつなぐ管が塞がれ、鼻腔との換気ができなくなり、副鼻腔炎を引き起こします。
・副鼻腔炎の多くは、急性鼻炎、風邪に引き続いて起こる
・急性鼻炎がなく副鼻腔炎のみが起こるということはない
(虫歯やカビなどが原因の場合を除く)
そのため、副鼻腔炎と呼ばず、鼻・副鼻腔炎と呼ぶこともあります。
・急性副鼻腔炎は、ウイルス性のものは5日以内で症状は消失、もしくは5日を過ぎて軽快していきます。
細菌感染を併発すると10日以上症状が続き、炎症の持続が4週をこえないもの
を指します。

○症状)

①鼻水

急性鼻炎、風邪に引き続いて起こり鼻水が出ます。急性鼻炎と同じく、初期は大半がウイルスの風邪から起こるためサラサラの水様性の鼻水に始まり、 細菌感染を併発すると膿性、いわゆる黄緑色の鼻水にかわってきます。風邪が一週間以上長引き、鼻水がだんだん透明のサラサラしたものから、 黄緑色の汚い鼻水に変わってきた場合、急性副鼻腔炎を続発した可能性が高くなります。

②鼻水がのどに流れこむ(後鼻漏)

鼻水が鼻の奥から喉に流れ込み、のどの違和感や痰のからんだ咳、痰が出るなどの症状が出てきます。

③頬やひたい、目の奥の痛み

副鼻腔の炎症の部位により様々な痛みがおこります。
上顎洞に炎症が起こると頬っぺたの痛みが出てきます。前頭洞に炎症を起こすと、額の痛み、篩骨洞、蝶形骨洞の炎症なら目の奥や頭の痛みが生じます。

○急性副鼻腔炎の診断法)

①症状の有無を確認する

鼻水や後鼻漏、頬の痛み、頭の痛みなどの症状の有無を確認します

②診察所見

・副鼻腔と鼻腔との交通する穴の周囲の膿汁の存在を確認します。
・上顎洞炎、前頭洞炎、前篩骨洞炎は、中鼻道に浮腫や膿のような汚い鼻水を確認し、後篩骨洞、蝶形骨洞炎は上鼻道、 嗅裂という鼻の上の方のところに汚い鼻水があるのを確認します。大半の副鼻腔炎は診察で確認する検査として
鼻腔ファイバー検査や、必要に応じてCT、MRIなどの画像検査、
またアレルギー検査、細菌検査、組織検査、嗅覚検査などでアレルギーの有無、原因菌の検索、ポリープなどがあればその細胞の検査などを行っていきます。

○副鼻腔炎の治療)

①薬の内服

抗生物質:ペニシリン、セフェム、ニューキノロンなどの抗生剤を投与します。
・消炎酵素剤:鼻の粘膜のはれをとる薬 
・粘液溶解剤:鼻水を柔らかくし出やすくする薬 ムコダインなど
・抗アレルギー剤:鼻汁を少なくする薬です。アレルギーの合併がある場合には積極的に投与します。
・鼻のスプレー、漢方薬
などを組み合わせて内服していただきます。

②鼻の処置

鼻吸引:
鼻腔に局所麻酔と鼻の粘膜を収縮させる薬をスプレーで振りかけて鼻腔を広げるとともに、鼻汁を吸い出します。
ネブライザー: 霧状の蒸気を吸入します。蒸気には粘膜の腫れを引かせる薬(ステロイド)、鼻汁を出しやすくする薬(粘液融解剤)、細菌を殺す薬(抗生剤)などが含まれており、 それを鼻から吸入することで副鼻腔の炎症を抑えます。
上顎洞穿刺: 上顎洞の症状が強い場合、妊娠中で内服薬が使いにくい場合などに行うことがありますが、最近は抗生剤の発達によりあまり行われなくなりました。
(大きな病院では、例えば血液の病気で骨髄移植前に副鼻腔炎が見つかり早急に治療をしなければならない時など、ときどき行うことがありました。)

○副鼻腔炎の合併症)

①においがわからなくなく、臭いにおいがする(嗅覚障害)

鼻腔の最上部に嗅神経という匂いの神経があります。次のような原因で嗅覚が低下します。
・鼻炎に粘膜腫脹やポリープなどの物理的な障害があり、空気が達することができないことにより嗅覚の低下を来たします。呼吸性嗅覚障害といいます。
・嗅神経そのものの炎症などの障害により嗅覚の低下が起こります。末梢神経性嗅覚障害と呼ばれます。
・副鼻腔炎の嗅覚障害はどちらか、または両者の要素が合わさる場合があります(混合性嗅覚障害)。

②視力の低下や物が二重に見える(眼窩内合併症)

後篩骨洞や蝶形骨洞の炎症が目に波及し、視神経炎など急な視力低下を来たすことがあります。緊急手術が必要になることがあります。

③激しい頭の痛み(頭蓋内合併症)

篩骨洞や蝶形骨洞、前頭洞の炎症が脳内に波及し、髄膜炎などの激しい頭痛が生じることがあります。緊急手術が必要です。



○注意していただきたいこと)

・風邪が長引き1週間以上たっても鼻水が止まらない、鼻水がだんだん黄緑色になってきた場合には、急性副鼻腔炎を疑う必要があります。

・急性副鼻腔炎になると、副鼻腔の膿汁の貯留が完全に消えるまで、2,3週間はかかります。慢性副鼻腔炎に移行しないためにも、 2,3週間はこまめに通院していただき、鼻の処置やネブライザー吸入を受けていただき、経過をしっかり見せていただいた方が、結果的に通院も短くて済みます。
・スイミングは、最初の1~2週間はさけた方が無難です。
・アレルギ―性鼻炎、肥厚性鼻炎、鼻中隔彎曲症、アデノイド肥大があると、その上に感染が重なったときに鼻の換気が悪くなり、鼻副鼻腔炎を起こしやすくなります。
はっきりした副鼻腔炎がない場合でも、副鼻腔の換気できなくなり副鼻腔が陰圧となって、頬っぺたや目の周囲の違和感、痛みを感じることがあります。
この現象に似た例は、ダイビングの際に気圧が変わって頬が痛くなったり(サイナスブロック)、飛行機に乗ったときに気圧の変動によって痛みが出る(航空性副鼻腔炎)などで、 病態がよく似ています。