鼻炎、副鼻腔炎(ちくのう症)専門サイト

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副鼻腔気管支症候群 ~肺の病気と副鼻腔炎の関係~

鼻から喉、気管支、肺にいたるまで、その表面は粘膜でおおわれています。
粘膜は粘液を分泌し吸った空気の加湿、加温の役割があります。また粘膜の表面は繊毛という毛でおおわれており、感染防御や異物、有害物質の除去の役割があります。
鼻、喉と気管支、肺の粘膜の構造が共通しているので、鼻が悪いと一緒に気管支や肺も悪くなる、ということが起こります。

鼻が悪いと気管や肺が悪くなる原因として挙げられるのは下記のような状態が起こった時です。
➀副鼻腔炎で後鼻漏があるとき
膿性の鼻水が鼻から喉に流れ込んで喉や気管支を刺激して、痰の絡んだ咳や喘鳴がおこります。
②鼻つまりがあるとき
鼻つまりがあると口呼吸となってしまうため、鼻の感染や異物除去のフィルター機能が減弱し、加湿、加温の機能がなくなるため、気管支が刺激され、感染がおこりやすくなります。

つまり副鼻腔炎と気管支炎は連動して起こりやすいのです。よく風邪など上気道炎が起こったあと、喉はだいぶ良くなったけど、 鼻がスッキリせず、咳も続く、という症状を経験された方もいらっしゃるかと思います。
この症状が慢性的に起こってしまう病気が副鼻腔気管支症候群です。
この病気は、リンパ球という血液中にある細胞の中でも、好中球という種類の細胞による炎症により起こります。(気管支喘息は、好酸球という細胞が原因です。)
好中球の炎症によって、粘膜から粘液がたくさん分泌されて、粘膜の繊毛機能が悪くなり、感染防御や有害物質の除去機能ができなくなることで症状がでてきます。
び漫性汎細気管支炎、気管支拡張症、Kartagener症候群などという病気が当てはまります。
成人の慢性副鼻腔炎の方の約10%が副鼻腔気管支症候群といわれ、またびまん性汎細気管支炎や気管支拡張症など慢性気管支炎の約50%に慢性副鼻腔炎が認められると言われています。

診断)

副鼻腔気管支症候群は下記のような特徴があります。
① 8週間以上、痰の絡んだような咳がつづく
② 風邪を引くと症状が出てきたり悪化したりする
③ 後鼻漏や鼻水、咳などの副鼻腔炎の症状がある
④ 喘息に見られるような、喘鳴や呼吸困難、気道過敏、咳はない
⑤ 鼻水や痰に好中球という種類の細胞を認め、肺炎球菌やインフルエンザ菌などの細菌が検出される。
⑥ マクロライド系抗生剤と去痰剤の投与で症状が軽減する

治療

副鼻腔気管支症候群の治療は、慢性副鼻腔炎と同様、マクロライドという種類の抗生物質と去痰剤が有効です。軽い場合は去痰剤だけでも効果がある場合があります。 アレルギーの薬や気管支拡張薬、ステロイドなどは効果がありません。
治療開始から1,2週間で効果が出ることもありますが、一般的には症状の改善兆候が見られるまでに1~3か月かかることが多く、約6か月の内服で改善すれば一旦中止も検討しますが、 副鼻腔気管支症候群は通常は数年単位という長期の内服が必要となります。 (慢性副鼻腔炎たけの治療は、このマクロライドを、3か月を目安として投与し、6か月過ぎても効果がない場合は、手術を行うことがあります)
そんなに長く飲んで大丈夫なのか?と疑問に思うかもしれません。確かに耐性菌が出現することが言われていますが、マクロライド系抗生物質は、 抗生剤として細菌に対する効果だけでなく、抗炎症作用、抗ウイルス作用、痰の分泌低下、水分分泌抑制、など抗生剤以外の働きがあり、 通常は抗菌効果が期待できないMRSAや緑膿菌などの菌に対しても、長期少量投与によって増殖抑制効果が認められます。